社会戯評82
多縁社会の形成を!
災害対策基本法が改正され、災害時の避難行動要支援者名簿が市町村に義務付けられた。大分市でも名簿の作成とそれを活用した避難支援の体制づくりについて、地域説明会が始まっている。市の担当課としては自治会単位に結成されている自主防災組織を中心に、要支援者の避難計画・個別計画の作成を要請しているが、自主防災組織の現状は、自治会組織の看板架け替えの地域が多い。また、民生委員の声掛け、見守り対象の高齢者との振り分けも、個人の支援要請や公開等について希望が違うので整理が困難を極めるようだ。担当課は自治会、民生委員、防災士、地区社協の活動と統合・調整をもっと図るべきではないか、ここに縦割り行政の弊害がでているようである。課別の連絡調整を行って一本化した方針を提起すべきである。▼さらに、地域組織の諸機能を発揮させていくには、何と言っても自治委員制度の在り方、そして自治会組織を活性化していくしか、方策は見当たらない。▼大分市は従来から「地域コミュニティの再生」を市政運営の基本に掲げ、「市民協働のまちづくり」を掲げているが、なかなか市民協働のまちづくりの形がみえない。かつては「おでかけ市長室」、最近は「ふれあい市長室」、市長が代わり、名称が変更されても内容が同じでは進歩がない。地域コミュニティの再生は、地域共同社会・向う三軒両隣りの相互扶助が第一歩である。それはいかなる時代や社会においても変わることはない。(立井 大楠)