10月末の西日本新聞に「個性派がそろう九州の県庁所在地で、正直やや目立たない存在が大分と佐賀市かも知れない」と自信なさそうに評されていた。さらに「大分市は全国に知られる別府や湯布院の陰でイメージすらわかないという人も多い」と、あたかも多くの人がそうであるかのような捻った書き方も気になった。たしかに、昭和40年代後半から60年代初頭にかけた新産都建設と住宅団地開発の勢いは去った。県内人口は微減する一方、人口急増と都市化が著しい大分市の状況は様変わりしている。個性派的都市云々は別にして、社会経済の環境が変化する中で、地縁社会は希薄化し、市政の基本方針にも「地域コミュニティの再生」を掲げなければならない現状にある。そして「市民協働のまちづくり」を訴え、自治区へ下ろす行政補助の作業も年々増え続けている。昨今、自治区役員の悲鳴も聞こえる。そうしたなか、進取気分で「市域内分権」・補助金の「一括交付金方式」へ、と新たな提唱がなされているが、これなど、掲げてきた「地域コミュニティの再生」が、ここ数年でどの程度「実」を上げてきたのか、その基盤整備の検証が先ではないだろうか?(立井大楠)