2月15日(土)西部公民館で「夕やけ小やけのまちづくり講演会」が開催された。主催は西部地区地域まちづくり活性化事業実行委員会(荒金一義会長)。講師は清水嘉彦氏(湯平温泉志美津旅館代表取締役)。「試行錯誤の地域づくり」をテーマに湯平温泉でのまちづくりに関する取り組みを聞いた。
鎌倉時代からあるという湯平温泉は明治・大正・昭和の大火、戦後のルース・きじやの台風での土石流被害に遭いながらも復旧を遂げ昭和30年~40年代前半には多くの湯治客で賑わい全盛を迎えた。旅館数は約60軒、肉屋・魚屋・青果店・畳屋・クリーニング店・病院などの町の機能も充実していた。ところが昭和40年代後半経済安定成長期になって長期滞在型湯治より短期滞在型の観光旅行や自家用車での移動が主流となり客数が激減。昭和50年の九州中部地震などもあり、旅館だけでなく商業施設の廃業が相次ぎ、定期バス路線も廃止になった。そんななか平成2年に若手経営者により「ゼロの会」が発足し、湯平竜神太鼓が結成されたり、種田山頭火シンポジウムや日本一のソーメン流しなどのイベントが開催されたりと観光客誘致に向けた取り組みが行われるようになった。平成15年度から地域アンケートをもとに「湯平温泉商店街石畳浪漫プロジェクト」が計画策定され、これを湯平地区の全ての団体が参加し一致団結して地域の活性化に取り組み実現するため平成17年に発足した「湯平温泉場活力創造会議」(代表=清水嘉彦氏)が大分県・由布市の支援を受け「湯平温泉場活力創造事業」に着手した。当初観光客1割増加を目標にして8%増加まで達成したが、平成20年のリーマンショックと平成23年の東北大震災後、観光客数は以前の7割まで減少した。どんなにいいと思える事業をしても経済の流れのなかにあることを実感したという。それでも失敗から学び再チャレンジし、世代交代と人材の確保・内と外の関係構築・景観づくり・温泉資源の保守・自然エネルギーの活用・石畳の利用・周辺の地域や自然との関連付けなどを課題に持続可能な温泉場をどう築いていくかを試行錯誤し続けている。