社会戯評39 『地域団体と民主主義』
地域社会の構成も複雑化し人々の価値も多様化している。さらに高齢化の進展も著しい。一般的に地域共同体が希薄化してきたといわれる。それぞれの地域で共同生活を営むためには、一つ一つ皆で協議して決めなければならない。そこで大切なのは、いわゆる「合意の形成」である。ところが、最近、地域団体役員の困惑した嘆きをよく聞くようになった。何事かを決めようとする場合、理想は全会一致である。しかし、全会一致を求めるのは至難の業である。だとするなら次善の策は多数決である。それでも地域団体としてはねばり強く「合意の形成」を求めていかなければならない。いかに協議の過程で異論があって対立しても、お互い冷静に主張の根拠を示しながら、最後は譲り合い、折り合いまとまらなければ地域共同体は存立出来ない。
ところで、概して会議を運営する側の稚拙もよく指摘される。全体的に落ち着きがなくお互いにゆとりを無くしているのが原因かも。
他方では「無言社会」と言われるほど、なにがどう決まろうと声を上げることもなく終了する会議も多いと聞く。果たして民主主義は機能しているのやら。
(立井 大楠)