社会戯評 『春日かけ橋』平成23年1月号♪
「三 学」?
大分に転勤して四十年近くなる。
その時期、
阿蘇の「三学舎」という造船会社の研修所に
よく合宿に行かされた。
そこでは研修の始まる前に
必ず全員で唱和させられた「三学」という言葉があった。
少にして学べば壮にして為すこと有り。
壮にして学べば、則ち老いて衰えず。
老いて学べば、則ち死して朽ちず。
さほど意味に拘泥せず、
だれの作かも気にせず、
ただ、面倒くさそうに口を揃えて声を出すだけでよかった。
それから10年も過ぎた頃、
今度は若者を連れて行く立場に変わった。
そこで初めて言葉の意味や
作者の思想に触れる機会があった。
そして昨秋、
当時「三学舎」に通ったメンバーと
同窓会(?)よろしく国東にドライブした。
目当ては九州曹洞宗の総本山といわれる「泉福寺」である。
全員「老いて学べば・・・」の気概で、
それぞれが薀蓄を傾けながら辿り着いたが、
「泉福寺」の山門には
禅寺特有の禁牌石(俗界との境界石)に
「不許葷酒入山門」の七文字が刻んであった。
ゴルフ好きのA君が
「アッ、
東急ゴルフ場の玄関にも
『不許冠職入山門』と似たような丸太がある」と叫んだ。
「…老いて衰えず」同感だ。
(立井大楠)
『春日かけ橋』2011年1月号