社会戯評 『春日かけ橋』平成22年12月号♪
「瘠我慢の説」から?
10月~11月は色々イベントが多い。
そして、どこにでも登場するのが坂本龍馬である。
今年は菊人形にも龍馬とお龍が並んでいた。
なかでも 山国町 の「かかしワールド」は大きな反響をよび、
あの山間に多くの観光客を呼び込んだようだ。
しかし、ここでは坂本龍馬は見当たらない。
世を挙げて龍馬ブームのとき、
はてな?と首を傾げるのも無理からぬこと。
たどっていけば、
どうも県北は大分のどの地区よりも
福沢諭吉を崇め奉る気風が強いようだ。
その尊敬する大分の偉人福沢諭吉は
海舟ぎらいであったそうな。
きらいな海舟に龍馬は
「先生、弟子にしてつかわさい」
と土佐弁で申し入れて弟子となった。
という史実(?)を知れば、
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」のたとえの如く、
他所のような龍馬ブームは起きていないと、
かかしワールドから推察できないか。
下衆のかんぐり、いやうがち過ぎか。
とは思うが、
福沢諭吉は「瘠せ我慢の説」で
勝海舟の明治維新後の身の処し方を批評している。
海舟は「行蔵は我に存す。毀誉は他人の主張」
と切り捨て、その後は無視して無関心を装ったようだが、
わが先人・福沢諭吉の説を敷衍してくれる郷土史家はいないか。
(立井大楠)
2010年12月号