社会戯評 『春日かけ橋』平成22年11月号♪
大分の「赤ネコ」は江戸産?
大分の県民性を表す言葉に
「大分の赤ネコ根性」とよく言う。
「大分は小藩分立の時代が長く、
郷土意識が薄く、協調性が乏しい」、
「排他的という気質がいまに残っている」などと
歴史的背景で説明される御仁もいる。
また、度量が狭く、他人の幸福をねたみ、
互いに足を引っ張ることを「赤ネコ根性」とも聞く。
他県の人が言うのではなく、
大分県民が自虐的に言いふらすことも多い。
その語源や意味すら定かでなく、
あたかも大分県民共通の特性かのように
思い込んで使ってはいないだろうか。
と考えていたとき、
ある本に「江戸の華は火事とケンカ」、
「江戸っ子は火事のことを『赤ネコ』と呼んでいた」
と書いてあった。
そこである人が「赤ネコ」語源の仮説を立てた。
江戸詰めの豊後の武士が、
火事=赤ネコの話を見聞きし大分に持ち帰った。
大分人が「火事場の人間ように我武者羅働く」ことを、
聞き覚えた言葉で「赤ネコ」と
評したのが流行したのではないかという話。
ということになれば、
「赤ネコ根性」は
悪い言葉のように使われ伝わっているが、
本当は大分人の「働き者」のことを評した
「いい言葉」ではなかろうか?
(立井大楠)
2010年11月号